「枕草子」清少納言×定子様
「姫(きみ)のためなら死ねる」 の記事で
題材は清少納言が書いた「枕草子」などからで
その「枕草子」は最古の百合エッセイと一部では呼ばれてるんだよ!
と紹介して終わりましたので、
百合部分の「枕草子」を公開したいと思います。
最古の百合エッセイ!?
学校の歴史で習った
(原文)
春はあけぼの。
やうやう白くなりゆく、山ぎはすこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
(現代語訳)
春は夜明け(がよい)。
だんだん白くなっていく、空の山と接する部分が少し明るくなって、
紫がかっている雲が細くたなびいている(のがよい)。
で有名な清少納言の「枕草子」
実はこの「枕草子」
最古の百合エッセイなどと(一部で)言われている。
というのも、「枕草子」の中身の半分は中宮定子様の事ばかりが書かれている日記のような物だからです。
「枕草子」から百合エピソードを少し紹介すると
枕草子の「うれしきもの」から
(原文)
よき人(ひと)の御前(おまえ)に、人々(ひとびと)あまた候(さぶら)ふをり、昔(むかし)ありける事(こと)にもあれ、今(いま)聞(きこ)しめし、世(よ)に言(い)ひける事(こと)にもあれ、語(かた)らせたまふを、われに御覧(ごらん)じ合(あ)はせて、のたまはせたる、いとうれし。
(簡単に訳すと )
定子様の前には大勢の女房がいるにも関わらず
私(清少納言)に目を合わせて色々と話して下さる。
それが凄く嬉しい。
同じく「うれしきもの」より
御前(おまえ)に人々(ひとびと)所(ところ)もなくゐたるに、今(いま)のぼりたるは、すこし遠(とお)き柱(はしら)もとなどにゐたるをとく御覧(ごらん)じつけて、「こち」と仰(おお)せらるれば、道(みち)あけて、いと近(ちこ)う召(め)し入(い)れられたるこそうれしけれ。
(簡単に訳して)
定子様の前にびっしり女房が座っている時に、新参者の私(清少納言)が少し離れた柱のもとなどに座っていたら定子様がすぐに私(清少納言)を見つけて「こちらにきて」と言ってくれた。女房達が通り道を作ってくれて定子様の近くに呼び寄せられたのは何にもまして嬉しい。
続いては、
「御方々、君達、上人など」から
(原文)
御方々、君達、上人など、御前に人のいとおほくさぶらへば、廂(ひさし)の柱によりかかりて、女房と物語などしてゐたるに、ものをなげ給はせたる。
あけて見たれば、
「思ふべしや、いなや。人、第一ならずはいかに。」
とかかせ給へり。
御前にて物語などするついでにも、
「すべて、人に一に思はれずは、なににかはせむ。ただいみじうなかなかにくまれ、あしうせられてあらむ。二三にては死ぬともあらじ。一にてをあらむ」
などいへば、
「一乗の法ななり」
など、人々もわらふことのすぢなめり。
筆紙など給はせたれば、
「九品蓮台(くほんれんだい)の間には、下品といふとも」
などかきて参らせたれば、
「むげに思ひ屈(くん)じにけり。いとわろし。いひとぢめつることは、さてこそあらめ」
とのたまはす。
「それは人にしたがひてこそ」
と申せば、
「そがわるきぞかし。第一の人にまた一に思はれむとこそ思はめ」
と仰せらるる、いとをかし。
(簡単に訳すと)
定子様のお身内の方々や貴公子たちに殿上人などが定子様の前に大勢控えているから私(清少納言)は廂の間の柱に寄りかかって女房たちと話なんかしていたら、定子様が何かを私に投げたの。
何かな?って思って開けてみると
「愛しちゃおっかな~どうしよかな、一番じゃなきゃダメ??」
とお書きになっている。
私がいつも、定子様の前で女房たちと話をする時に
「だいたい誰かに愛されるなら一番じゃなきゃ意味なんてない!そうじゃないなら、いっそのこと、すっごい憎まれて冷たくされた方が良い!二番目三番目なんかは死んでも嫌!絶対に一番が良い!」
なんて言ったら
「それじゃまるで法華経の一乗の法みたいじゃない」
って皆が笑ってたの。
この事について定子様は書いたみたい。
定子様が筆と紙をくださったので、
私は、
「九品蓮台の中なら、下品(げぼん)でもいいです。(定子さまに愛されるのでしたら、一番下でもいいです)」
と書いて定子様にお渡しすると
「まぁ、弱気になっちゃダメよ。一度言い切ったことは、そのまま押し通さなくっちゃ!」
とおっしゃっる。
だから私が
「相手次第です。」
と申し上げたら定子様が
「それじゃダメよ!一番の人に一番に愛されたい!って思うのが良いのよ!!」
と仰せになるのなんて、最高だわ!
参考HP↓
感想
なにこれ!昔から百合があったとは!
どのエピソードも最高、
重要なのは、定子様が年下10代で清少納言が年上アラサー手前というから素晴らしい。
身分が違い過ぎるからというのもあるけど、年下定子様にタジタジな清少納言…good!
まぁ、史実では完全百合ってわけにはいきませんが、そこは伏せて。
百合の目で見る「枕草子」は面白いです。
